研究内容

研究テーマ1

ランタノイドアクア超分子錯体の光化学反応

Yb, Eu, Smなどランタノイド金属は水中で三価のアクア錯体を形成し、窒素配位子や酸素配位子などを第二配位圏に集積します。Ybヘキサアクア錯体は配位水の周囲に15の4,4'-ビピリジルエチレン(bpe)を水素結合により集積します。さらにカラム状に重なったbpeどうしが紫外線照射下で環化付加し、シクロブタノール誘導体を形成することが単結晶構造解析の結果明らかになりました。

紫外線照射下での環化付加

研究テーマ2

Alq3を用いたハイブリッド材料の合成

facial Alq3の構造

ベーマイトは安価なAl源として化酸化アルミニウム化合物、アルミナなど様々な高付加価値化合物の合成に利用できます。我々はベーマイトを金属源として、ハイブリッド化合物を合成することで、安価で環境にやさしく有望な光材料の開発を目指します。

研究テーマ3

外部応力刺激に応答する機能性ソフトクリスタル

結晶とは、原子や分子が規則正しく並んだ固体材料のことを指します。通常の結晶材料は外部刺激に弱く、即座に壊れるなどの挙動を示しますが、分子結晶においては分子デザインを検討することで、柔軟に曲がったりねじったり出来るソフトクリスタルを作製することが可能となります。当研究室では、新規ソフトクリスタルだけではなく、機能性を有した多機能性ソフトクリスタルの開発も行っています。

発光特性有する結晶を曲げて作った神奈川大学の略字(K.U.)

研究テーマ4

機能性多核金属錯体の開発

多核金属錯体とは、分子内に複数の金属イオンを含む金属錯体のことで、金属イオン間の相互作用により単核錯体では成しえない特異な機能性の発現が期待できます。また、その幾何構造や金属イオン種に依存した特異な物性発現も期待できます。多核金属錯体の機能性としてはキラリティー、磁性、発光特性、誘電性等に着目し研究を行っています。

単結晶構造解析により明らかになった多種多様な幾何構造を有する多核金属錯体

研究テーマ5

新規有機無機ハイブリッド化合物の開発と機能

有機無機ハイブリッド化合物は、有機物カチオンと金属ハライドアニオンから構成される化合物で、無機固体と分子性固体の間の特性を示す新材料として期待できます。特に、有害な蒸気を色や発光で検知できるベイポクロミック材料や熱に反応して色が変わるサーモクロミック材料など色々な機能性に着目し研究しています。

有機無機ハイブリッド化合物の結晶構造と外部刺激応答性

研究テーマ6

配位性蒸気を介して色と磁性のスイッチングが可能な錯体システムの開発

有害蒸気に応答して色と磁性を変化可能な材料は、センサーやメモリ材料としての応用が期待できます。しかし、そのような固体材料はまだまだ少ないです。 Ni錯体は、配位構造に由来して色と磁性が顕著に変化するため、それを利用して揮発性蒸気に応答する新規材料開発を行っています。

ピリジン蒸気に視覚的、磁気的に応答する単核Ni錯体