研究内容

<2010年度からの卒業論文・修士論文リスト>

<インターンシップ・技術研修派遣先リスト>

(1) エコロジー社会を支える新型電池の開発
現在,ノート型パソコン,携帯電話等のモバイル用電源として用いられているリチウムイオン二次電池や燃料電池を大型化し,ハイブリッド自動車や電気自動車用電源に使用しようとする研究が世界各地で盛んに行われています。そのためにはさらに軽くて,長い時間使える,充電時間が短い電池が必要です。さらに,今後広く人々に使ってもらうようになるには,安価な材料で,安全な電池の開発が重要になります。当研究室では化学の立場からナノテクノロジー,分子軌道計算,化合物合成,分析装置などの方法を使って高性能次世代の新型電池の研究に取り組んでいます。

        

(2) コンビナトリアル化学による機能性材料の開発
  新材料の開発において、様々な元素の組み合わせを持つ化合物,いろいろな合成方法が検討されていますが,目的の性能を発揮する材料の発見には至っていないものがたくさんあります。当研究室では様々な組み合わせを持つ材料を網羅的,効率的に合成し,それらの多くの物質を一度に評価することによって,材料の探索を非常に短時間で完了させる(研究開発に要する時間を大幅に短くする)システムの研究を行っています。現在は,高容量リチウムイオン二次電池材料,燃料電池電極触媒,水素吸蔵合金,超電導物質などの環境・エネルギー問題に関係する材料開発を行っています。

      

(3)リチウムイオン電池用高容量Li過剰層状正極材料の合成と電池特性                 
  現在,携帯電話,デジタルカメラ,音楽プレーヤーなどに用いられているリチウムイオン二次電池電池を大型化し,ハイブリッド車や電池だけで動く電気自動車の開発が盛んに行われています。しかし,電気自動車の市場への普及には,さらに高エネルギー密度を有する電池の開発が必要です。特に,正極材料のエネルギー密度は,現在開発されている負極材料に比べて著しく小さく,今後の高エネルギー密度を有する新型電池の開発には,正極材料のエネルギー密度の大幅な改善が必要とされています。私たちの研究グループでは,Li過剰Ni-Co-Mnの酸化物に注目し,電池性能の検討を行っています。

                  

              

           携帯電話に用いられているリチウムイオン二次電池と電池反応模式図

(4)燃料電池アノード極用電極触媒および触媒担持材料の開発                      
  燃料電池は水素,メタノール,エタノール,ギ酸などを燃料としてアノード極で酸化反応を行い,カソード極で酸素分子の還元反応を行うことによって発電を行っています。これらの酸化還元反応を効率的に行わせるために電極触媒が必要になります。現在,これらの触媒には貴重金属である白金や白金をベースとした合金が用いられています。そのため燃料電池の値段が高いという問題が燃料電池の市場への普及を阻んでいます。我々は,メタノール,エタノール,ギ酸などを燃料とするダイレクトタイプの固体高分子型燃料電池の触媒の開発を行っています。特に,金属間化合物(Ordered Intermetallics)の原子が規則正しく配列した構造の生成による構造の安定化が高い触媒活性を長い時間保持する原因となっていることが明らかとなっており,白金を用いないOredered Intermetallic Phaseについても高い触媒活性が得られないかどうかを検討しています。

   

金属間化合物(Ordered Intermetallics)表面におけるギ酸の酸化反応の模式図

およびPtPb Ordered Intermetallicsの表面解析結果