Sr2Fe2−2xCoxGe1+xO7

 

当研究室では、酸素発生反応 (OER) 触媒において低配位数の遷移金属サイトの存在が活性向上に有利であると着想し、すべての遷移金属サイトが4配位四面体構造をもつ「メリライト型酸化物A2BC2O7」に注目しました。さらに、高活性が期待されるFe/Co複合組成の新物質Sr2Fe2−2xCoxGe1+xO7 (A = Sr, Ba) を開発しました。この化合物についてアルカリ電解液中でOER触媒活性評価を行ったところ、過去に報告されているペロブスカイト型やスピネル型酸化物触媒に比べてはるかに高活性であり、貴金属触媒RuO2と同等以上の性能を示すことが明らかになりました。

反応後の触媒を電子顕微鏡観察したところ、結晶構造を維持した粒子表面に数十nmのアモルファス層が観測され、これが高OER活性相であると断定しました。このアモルファス層は、水酸化物イオンの吸着に優れる4配位サイト=“配位不飽和サイト”の存在により効率的に形成されたと考えられ、メリライト型化合物がOERなど吸着過程を経由する反応の触媒として有用であることが示されました。