Ca2FeCoO5

 

 本化合物は、過去に独自開発した酸素貯蔵材料Ca2AlMnO5+δと同じく「ブラウンミラーライト (BM) 型結晶構造」をもっています。図1のように、BM型構造では遷移金属と酸素のつくる原子配置が2種類存在しており、Fe/Coが6個の酸素に囲まれた「八面体サイト」と4個の酸素に囲まれた「四面体サイト」が隣り合っているのが特徴です。

 図2に、Ca2FeCoO5を用いた場合の酸素発生反応 (OER) のデータを示します。電圧を増やしていくと、水酸化物イオンが酸化されて酸素分子が生成する反応 (= OER) に伴う電流が流れるのが分かります。電流の大きさはOERの反応速度に対応しているので、この化合物がOERを劇的に加速していることを意味します。Ca2FeCoO5の触媒活性は、高価な貴金属触媒RuO2などの既存触媒材料を圧倒しています。この化合物がなぜ優れたOER活性を示すかよく分かっていませんが、上記の「八面体サイト」「四面体サイト」の共存が重要な役割を果たしていると考えています。

    図1. Ca2FeCoO5の結晶構造.

図2. Ca2FeCoO5のOER触媒活性. 比較として, 既知の触媒であるRuO2と(Ba,Sr)(Co,Fe)O3-δのデータも示した.