2019年度の集合写真(岸根公園にて)

 

【構成員】

 スタッフ:井川学教授
      

 学生  :博士前期課程1名
      卒研生13名  

枯れ木のオブジェと化したブナ林(丹沢山〜塔ノ岳06年8月5日) 

 

 丹沢の主峰が屏風のように立つ檜洞丸から塔ノ岳の丹沢湖に面する斜面のブナ林のみが、この写真のように激しく立ち枯れしています。原因物質として、風に乗って運ばれる酸性霧が考えられ、実際に長期曝露実験の結果、ブナ苗木は酸性霧で枯れることが証明されました。これ以上衰退が広がらないように、大気汚染を抑制することが急務の課題となっています。
I. 酸性降下物に関する研究

1. 雨、霧、露と大気環境の化学

2. 都市近郊山間部における影響

 人々に大きな恵みを与える森は、世界各地でいま衰退しています。状況は日本も同じです。
 私達は1988年より丹沢大山で酸性霧を中心とした酸性汚染物質沈着量の測定を続けています。丹沢はいま、モミやブナの枯れが大きな問題になっています。
 霧は大気中の水分量が少ないので汚染物質濃度が高くなります。NOxが酸化されて生じた硝酸ガスを吸収してpH3前後となった霧が大山では頻繁に発生しています。
 私達は酸性霧が森を枯らす原因になっていると考え、モミ苗木へ実際に近い酸性霧を噴霧し、枯れが起こることを確かめました。ブナも同様です。いま、そのメカニズムを明らかにしようとしています。
 霧は都市部で発生することは稀ですが、露は早朝に頻繁に発生しています。露の発生により大気汚染物質の沈着量は大きく増大します。その支配要因は大変複雑です。
 私達は雨、霧、露だけでなくガス、粒子状物質(エアロゾル)、揮発性有機物化合物(VOC)などの、大気中の様々な物質の分析を進めています。下図の花粉の表面分析もその一つです。
 都市の花粉は下の図のように、エアロゾルやガスにより汚染されているため花粉症を起こしやすくなります。

 
II.新しい膜分離システムおよび非平衡の化学に関する研究

 私達の研究室では、新しい膜システムにより水に溶けた様々な物質を選択的に回収したり、生体膜と同様な振動現象の発生のメカニズム探求などの研究も進めています。

 

膜

 

 

 

 

   

 

左図 疎水性膜による疎水性物質の選択透過 高pHになるとここに用いた溶質は解離して親水的になり、膜透過性(Flux)は大きく減少します。         

右図 電位振動現象 原相から膜相を通り受相へ溶質が移動する時、ある条件下では界面をリズミカルに揺らし、これが電位振動となります。

 

 

 

 

III. .EK法による土壌からの汚染物質の除去

 

EK法の実験図